2019年5月21日に株式会社エムディエヌコーポレーションより出版される、WordPress初学者に向けた『WordPressのやさしい教科書。 手を動かしながら学ぶ実用サイト作りと正しい運用 5.x対応版』という書籍の執筆に参加させて頂きました。
このブログでは執筆のキッカケから、執筆作業〜出版、そしてその後についてまとめておきたいと思います。
記事INDEX
執筆のキッカケ
執筆のキッカケは、デジタルキューブの岡本さんからのご紹介でした。
お話を頂いたのは、確か2018年の12月ごろだったかと思います。
そこから、出版社の担当者さんとメールなどで挨拶させて頂き、同じく執筆に手を挙げてくれた 額賀さん・占部さん・シマさんも執筆メンバーに加わってくれました。(※シマさんは後日参加。詳しくは後述)
出版社の担当者さんより、「共著の場合、誰か1名が代表者として欲しい」という依頼があったため、今回は私が代表者として名乗りを上げさせてもらいました。
企画
執筆のお誘いを頂いた時点では、本を出版することは確定していません。
出版社内で企画会議を行い、承認されて晴れて出版決定・執筆開始となります。
出版社の担当者さんより、同ジャンルの本を例にどのような本を企画しているかを教えて頂き、構成案などを練っていくところからスタートします。
(ここで年末年始を挟み、2019年より本格始動となりました)
年が明け、出版社の担当者さんより以下の要領で企画を進めていくことが知らされました
- 本書の構成案(暫定)の決定
- それに基づく本の仕様の決定
- 市場調査
役割分担としては、1が著者陣・2〜3が出版社さんの作業となります。
構成案を練る
今回の想定される読者としては、次のような方とすることが決まっていました。
- PCやブログ等の基本的な知識はある人が対象。
- WordPressは初めて、あるいは慣れていない、という人でも、本書を読むことである程度のサイトが作れるようになりたい。
「基本的な知識」・「ある程度の」という少し広めに捉えることができるターゲット層にどのような内容を提供するかを著者陣で話し合いを重ねました。
その結果、『Webサイトに関する「基本的な知識」の部分を補完しつつ、カフェや雑貨屋などのスモールビジネスのオーナーが「ある程度の」サイトを本書の手順に沿って作成することができる本にしよう!』という方向性が決まりました。
※「ある程度」としていますが、実際には実用可能なサイトを作成します。
方向性が決まったので、ここから著者陣を代表して、以下のような章構成と各章のページ数などの構成案を提出しました。
- WordPressとは
- WordPressをインストールする
- WordPressの管理画面を操作する
- テーマを使って外観をカスタマイズする
- プラグインを使って機能を追加する
- ブロックエディターで記事を投稿する
- 外部のサービスと連携する
- WordPressの運用のコツ
- WordPressに関する情報収集
最終的には執筆時に調整が入りますが、基本的にはこの構成案をもとに執筆が進みました。
構成案提出から約1週間ほどで、「企画が承認されました」というメールを頂き、いよいよ執筆開始か!と思いましたが、
ステータスとしては「印刷所より入稿~印刷のスケジュールを請求し、それが届き次第、逆算してのスケジューリング」となっていました。
スケジュールが決定するまでは構成案のブラッシュアップをひたすら進めます。
ちなみに、このあたりからメールでのやりとりに限界を感じてプロジェクト管理にBacklogを導入しています。
この時点で2019年1月末ごろ。
スケジュールの決定
構成案のブラッシュアップを重ね、2月の1週目ごろに全体のスケジュールが決定しました。
2月2週目 | 最初の原稿のアップ(1章分) |
3月1週目 | この日までに全体の50%以上をアップ |
3月第3週頃 | 残りを概ねアップ |
3月末頃 | 完全脱稿 |
4月第3週頃 | 印刷入稿 |
4月25日 | 校了 |
5月13日 | 製本見本 |
5月17日 | 配本 |
5月21日 | 出版 |
今回、メインの原稿は240ページほどと聞いていましたので、単純に著者3人で計算すると1人80ページの執筆を行う計画でいました。
しかし、メインの執筆作業が年度末にしっかりかかるスケジュールだったため、当初原稿レビューチーム(後述)として参加してもらっていたシマさんに急遽著者として参加してもらえないか打診して、参加してもらうことができました。
(本当にありがとうございます)
また、このタイミングで本書の編集をご担当頂く、有限会社 リンクアップの担当者さんよりご挨拶を頂きBacklogへ招待させて頂きました。
原稿レビューチームの結成
原稿執筆を進めていく上で、著者間で自分の担当以外の章のレビューを進めていこうと思い、Backlogで課題作成・スケジュール調整を行いましたが、どんなに頑張ってもスケジュールが厳しそうでした。
そこで、普段からWordPressコミュニティでお世話になっている次の方々に原稿レビューをお願いできないか打診をおこないました。
年度末の忙しい中、みなさんにご快諾頂き本当に感謝しています。
ありがとうございました!!!
執筆
執筆を進めるにあたり、どのように原稿を書いて・管理するかを話し合いました。
結果的に「日常的に使っているツールがいいよね」ということで、以下が採用されました。
- 執筆作業:慣れ親しんでいるエディターソフト
- 原稿管理:Git(Backlog)
- 進捗管理:Backlogの課題(「章」を親課題にして、「セクション」を子課題に)
GitのリモートリポジトリにはGitHubも案に出たのですが、Backlogでプロジェクト管理しているので、BacklogのGitリポジトリを使用することが採用されました。プルリク機能もあるし、課題との紐付けも簡単です。
ソースコードのディレクトリ構成は次のように進めました。(1章1セクション目の例)
- 1-1 -- index.md -- /img ---- image.jpg ---- image-caption.jpg
各セクションごとにフォルダを作成して、原稿のマークダウンと原稿内で使用する画像を準備するような形です。
また、画像に関してはキャプションあり版と、キャプションなし版を用意しました。これは編集社さんが書面デザインフォーマットに応じてキャプション入れを行うためです。
原稿のブラッシュアップ(推敲・著者校・色校)
原稿の執筆が終わったセクションごとに、編集社さんが「初版組み」といわれる、書面デザインフォーマットに従ったレイアウト作業を行っていく形で進行しました。
版組みで完成したPDFをもとに、原稿レビュー・推敲・著者校・色校を実施することになるのですが、この作業がなかなか大変でした。
「どうすれば、ターゲットにしている読者さんにとって有益となるか?」を話し合いながら原稿のブラッシュアップを進めました。
(「推敲」・「著者校」・「色校」についてはググってみてください。)
ちなみに、PDFに対してレビューを行う場合、以下のような方法をご提示頂きました。
- PDFの編集で赤入れ
- PDFを印刷して手書き赤入れ→スキャン
このやり方でもよかったのですが、、
これだと手間がかかるのと、進捗管理などの面から不便と判断し、Brushupの導入を提案し採用して頂きました。
Brushupなら、PDFへの赤入れ(コメント)ごとにステータス管理も出来る上に、コメントごとにURLが発行されるので管理面やコミュニケーション上とても有益でした。本当にオススメです。
完全脱稿
一部の調整などありましたが、3月末ごろ無事に(?)スケジュール通りに完全脱稿を迎えることができました。
何度も読んだ「原稿」がついに「書籍」となっていきます。
Backlogの課題数は256件となっていました。(多いですか?少ないですか?)
付録データ類の作成
書籍中では、読み進めながらカフェのサイトを作成することを目的としています。
そのため、見本となる「デモサイト」の作成と、困った時にインポートすれば「デモサイト」を復元することができる「バックアップデータ」の配布を行うことになりました。
デモサイトの作成
「デモサイト」のホスト先についてはサーバー・ドメインの維持の面から、GitHub.ioで行うことにしました。
GitHub.ioでの公開までの手順としては次のようになります。
- 元となるWordPressでサイト構築
- プラグイン「StaticPress」で静的ファイル出力
- GitHub.ioのリポジトリにpush
バックアップデータの作成
バックアップデータについては、プラグイン「All-in-One WP Migration」のエクスポートデータとすることになりました。
配布用のバックアップデータを作る際の注意点としては以下が挙げられるかと思いましたので、同じような機会がある際の参考用にまとめておきます。
- 作業ユーザーの削除
- メールアドレスなどの個人情報の変更
- リビジョンの削除
- optionデータの削除(削除したプラグインの設定が残っていることもある)
また、このバックアップデータがインターネットに公開済みのWordPressにインポートされることを考慮して、「パスワードはインポート後に必ず変更しましょう。」という注意書きも書籍内に記載しました。
Amazonに商品ページが準備される
印刷入稿の段階あたりで、Amazonに商品ページが登録されていました。
このころ、情報解禁がOKになりました。
ちなみに、著者になるとAmazonの著者セントラルというサービスが使用出来るようになります。
Amazon.co.jpに登録された氏名と、出版社からAmazonに登録された著者名を紐付けることで認証をすることができました。
見本本の到着
発売の3日ほど前に見本本を数冊送って頂きました!
「原稿」から「書籍」になったことを実感。
出版日
2019年5月21日。いよいよ販売がスタートしました!
Kindle版も同時配信でした。
予約注文をして頂いてくれていた人もいたようで、午前2時ごろに見ると「ホームページ入門書」の売れ筋ランキングで3位になっていました。
最後に
ハードなスケジュールの中、ご尽力頂いた以下のみなさんに心からの感謝を述べさせて頂きます。
- 著者陣のみなさん
- 出版社・編集社の担当者さん
- レビューチームのみなさん
- 素敵なイラストをご提供頂いたHama-Houseさん
これからWordPressを学ぼうと思っている人にとって、この本が少しでも役に立ってくれることを願います。
著者陣のブログ
額賀さん:「WordPressのやさしい教科書。 」を書きました
シマさん:『WordPressのやさしい教科書。 手を動かしながら学ぶ実用サイト作りと正しい運用 5.x対応版』本を執筆することになったきっかけ
占部さん:『WordPressのやさしい教科書。手を動かしながら学ぶ実用サイト作りと正しい運用 5.x対応版』の執筆に参加しました #wpネコ本
(随時更新予定)
One thought on “『WordPressのやさしい教科書。 手を動かしながら学ぶ実用サイト作りと正しい運用 5.x対応版』という書籍の執筆に参加させて頂きました。”
Comments are closed.